高校生を対象に実施した「医療と健康に関する意識調査」アンケート結果報告
2025年春、石川県のある高校の1・2年生を対象に、「医療と健康に関する意識調査」アンケートを実施しました。生徒の皆さんが日々どのように健康や医療を捉えているのかを明らかにし、今後の保健教育や地域連携活動の参考とすることを目的としています。
アンケート概要
- 対象:高校1年生(21人)、高校2年生(38人)合計59人(男子35人 女子19人)
- 内容:健康・医療・医療社会に関する意識調査、医療教育のニーズ調査
アンケート結果のまとめ
- 全体の85%の生徒が、自分の体や健康について気になる、不安になる時が「ある」と回答
- 女子の方が不安に感じる割合が高い
- 全体の75%が、家族の体や健康について気になる、不安になる時が「ある」と回答
- 全体で90%以上の学生が、最低限の基本的医療知識を学ぶことに「興味がある」と回答
- 全体で80%の学生が、学校で医療についての授業やイベントが充実するべきと回答
- 「メンタルヘルス」「人体のメカニズム」「生活習慣病」「がん」「救急対応」について知りたい学生が多い
- 全体の90%以上の学生が将来の医療社会に不安を感じている
- 医療費や社会保障、尊厳死について比較的多くの生徒が考えたことがある
- 医療啓発活動の最も有名なピンクリボン運動について、半数以上の学生が「知らない」と回答
主な調査結果
1. 健康への不安について
Q1-1. 自分の体や健康について気になる、もしくは不安になる時はありますか?
<全体>

全体の約85%の生徒が「不安を感じたことがある」と回答。
<学年別>
<男女別>


高校2年生の方が高校1年生よりもやや割合が多い。
女子の方が男子よりも「不安を感じたことがある」と回答した割合が多い。
Q1-2. どういう時に気になる、不安になりますか?
<全体>

全体の30%を超える生徒が「体調不良」「ストレス」「睡眠不足」の時に不安になると回答。
<学年別>

学年、男女問わず「体調不良」「ストレス」「睡眠不足」の時に不安になるとの回答が多い。
高校1年生は「体の成長を感じたとき」に不安を感じると回答した割合が多い。
高校2年生は「部活動での怪我をしたとき」に不安を感じると回答した割合が多い。
それ以外については学年による差は顕著ではなかった。
<男女別>

女子は「月経時」や「ストレスを感じたとき」に不安を感じると回答した割合が男子より多い結果となった。
男子は「体調不良のとき」「部活動での怪我をしたとき」「食生活が乱れたとき」に不安を感じると回答した割合が女子より多く見られた。
2. 家族の健康についての関心
Q2-1. 家族の体や健康について気になる、もしくは不安になる時はありますか?
<全体>

全体の約75%が「家族の健康に不安を感じたことがある」と回答。
<学年別>
<男女別>


1年生の方が2年生よりも、「家族の健康に不安を感じたことがある」頻度が多い。
女子の方が男子よりも「家族の健康に不安を感じたことがある」頻度が多い。
Q2-2. どういう時に気になる、不安になりますか?
<全体>

「家族の体調不良」が最も多い結果となった。
ついで、「家族が検査を受けた時」、「家族のストレスや疲労を見た時」、「家族の将来の健康への不安」、などが全体の10%を超えていた。
<学年別>

高校1年生は「家族が高齢であるとき」「家族に持病があるとき」「家族の食生活が乱れているとき」に不安を感じると回答した生徒が多い。
高校2年生は「家族の体調不良のとき」「家族が検査を受けたとき」「家族の将来の健康に不安を感じたとき」に不安を感じると回答した生徒が多い。
<男女別>

女子は「家族の食生活が乱れているとき」や「家族が検査を受けたとき」に不安を感じると回答した生徒が多い。
男子は「家族の体調不良のとき」「家族が高齢であるとき」「家族に持病があるとき」に不安を感じると回答した生徒が多い。
3. 医療・健康情報の収集方法
Q3. 普段、医療や健康についての情報はどこから得ていますか?
<全体>

「インターネット」、「テレビ」が顕著に多く「SNS」の影響も指摘できる。
<学年別>
<男女別>


学年別では、明らかな差は認めなかった。
男子は「インターネット」、女子は「テレビ」から情報を得ている割合が高いが、サンプル数が少ないこと人数差も考えると、違いは断定できないと考えられた。
4. 医療知識を学ぶことへの関心
Q4. 最低限の基本的医療知識を学ぶことに興味がありますか?学んでみたいと思いますか?
<全体>

全体で90%以上の学生が「興味がある」と回答。
<学年別>
<男女別>


学年別で見ると、高校1年の方が2年よりも興味を強く持っている可能性があると考えられる。
男女別で見ると、やや女子の方が興味を持っている可能性があると考えられる。
5. 学校での医療・健康教育の必要性
Q5-1. 学校で健康や医療に関する授業やイベントがもっと充実すればいいな、あると役立つなと思いますか?
<全体>

全体で約80%の学生が、「学校での医療の授業・イベントが充実した方がいい」と回答。
<学年別>
<男女別>


高校1年の方が「充実した方がいい」と思う割合が高い。
女子の方が男子よりも「充実した方がいい」と思う割合が高い。
Q5-2. 医療についての授業やイベントが充実するといい、役立つと思うのはなぜですか?
<全体>

「健康維持」「体調を崩した時の助けになる」が顕著に多い。
日々の体調・健康管理にニーズがある可能性がある。
ついで、「大人になった時に役立つと思うから」が多い。
<学年別>

高校2年は「部活でのパフォーマンス向上のため」が1年生よりも多い。
<男女別>

女子は男子より「健康を維持するため」と回答した生徒が多い。
Q5-3. どういう内容を知りたいですか?

「人体のメカニズム」「生活習慣病」「がん」「メンタルヘルス」「救急対応」が比較的多い。
<学年別>

メンタルヘルスについては、学年問わず多い。
高校1年は主に、「人体のメカニズム」「がん」「救急対応」について興味を持つ学生が多く、高校2年は主に、「生活習慣病」「怪我をしない体作り」について興味を持つ学生が多い。
<男女別>

Q5-4. 医療についての授業やイベントが充実すればいい、役立つと「思わない」のは、なぜですか?
<全体>

「興味がない」という回答が全体の50%で最多。
<学年別>
<男女別>


「興味がない」と回答した生徒は、高校1年生で2人(21人中)、高校2年生で10人(38人中)だった。
6. ピンクリボン運動の認知度
Q6. 市民に乳がんの検診を促す目的で世界で行われている啓発活動「ピンクリボン運動」って知ってますか?
<全体>

全体の54.2%の学生が「知らない」と回答。
<学年別>
<男女別>


女子の方が男子より「知っている」と回答した割合が高い。
7. 保健室だよりの活用状況
Q7-1. 保健室だよりって読んでますか?

全体の約64%の生徒が「読んでいない」と回答。「いつも読んでいる」人は3.4%にとどまる。
<学年別>
<男女別>


女子の方が男子より「読んでいる」と回答した割合が多い。
Q7-2. 保健室だよりを親御さんに渡していますか?
<全体>

全体の約78%の学生が「渡していない」もしくは「たまに渡している」と回答。
<学年別>
<男女別>


8. 医療費や社会保障について考えたことはありますか?
Q8. 日本の医療費や社会保障など医療社会制度について少しでも考えたことありますか?
<全体>

全体の80%以上の生徒が医療費について考えたことが「ある」と回答。
明らかな男女差、学年差は見られなかった。
<学年別>
<男女別>


9. 尊厳死について考えたことはありますか?
Q9. 尊厳死について少しでも考えたことはありますか?
<全体>

全体の96.6%の生徒が尊厳死について考えたことが「ある」と回答。
<学年別>
<男女別>


学年別・男女別に大きな差は確認されなかった。
10. 将来の医療社会について不安を感じますか?
Q10. 将来の医療社会について不安を感じますか?
<全体>

全体の90%以上の学生が将来の医療社会への不安を「感じている」と回答。
<学年別>
<男女別>


高校2年生の方が高校1年生より「不安を感じている」と回答した割合がやや多い。
11. 医療者になってみたいと思いますか?
Q11. 医療者になってみたいと思いますか?
<全体>

全体の39%が「なってみたい」と回答。
<学年別>
<男女別>


📝 今回の調査から見えたこと
高校生は自身の健康や家族の体調、将来の医療制度や社会保障にも高い関心を持っており、想像以上に広範な医療リテラシーを備えつつあることが明らかになりました。
📣 今後に向けて
- 保健室だよりの電子化・SNSでの発信など新しい工夫の導入
- 性別・学年別ニーズに対応したカリキュラム設計
- 地域医療機関との連携による「医療のリアルに触れる機会」の提供
今回のアンケート調査にご協力くださった皆さま、本当にありがとうございました。